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ご挨拶

公益財団法人 水道技術研究センター理事長 大垣眞一郎

 水道技術研究センターの前身の一つである財団法人水道管路技術センターが発足してから25年がたちました。この間、水道をとりまく環境は大きく変化してきました。その変化には、大きな構造的な変化と予測の難しい不連続な変化の二種類があります。
 大きな構造的変化は、日本における人口増加の終わりと減少の始まりでしょう。水道事業の経営に大きな影を及ぼしています。また、水道の資産の老朽化も構造変化の一つです。効率的で経済的な維持管理が問われています。更新のための投資への社会の理解も求めなければなりません。一方、世界では、全体として人口増加は続き、未だ安全な飲料水を得ていない膨大な人口が存在します。あるいは急激な都市化地域では水インフラの整備が急務となっています。物や人の循環のグローバル化はますます拡大しています。世界のこの構造変化に対し、日本の水道界では、国際貢献、援助、国際ビジネスのあり方を考え直し、新たな活動が始まっています。地球環境保全への配慮も水道事業者や企業にとってますます重要になっています。
 予測の難しい不連続な変化としては、言うまでもなく、東日本大震災のような災害があります。巨大災害が今後も日本列島を襲うおそれも予想されています。また、地球規模気候変動に影響するであろう大気中の二酸化炭素濃度は増加を続けています。異常気象による渇水や高温あるいは洪水は、水道界にとって大きな脅威です。一方、良い不連続な変化もあります。新技術や新素材の開発により、飛躍的に水処理効率や運転エネルギー効率が良くなる、あるいは、測定できなかった水中微生物や化学物質が実測できるようになる、など革新的な技術が続いて生まれています。情報通信技術(ICT)の進展は止まるところがないように見えます。もちろん、社会インフラへのICTの導入は、サイバー攻撃等への備えを求められます。
 この構造的変化と不連続の変化の二つは複雑に絡まっています。解くべき課題は分離できず、個別の対応では不十分となります。どのように対処すべきでしょうか。水道界には、水道事業体、民間企業、行政、学界、非営利活動団体など、実に多くの関係者がいます。これらの関係者が一緒に動くことが必要です。公益的社会システムとしての水道に対する社会の認識を高め、水道技術をより高度な信頼性を持つシステムに強めなければなりません。そのためには、関係者が課題を共有し、解決のために共に行動できる場が必要です。その場は、さまざまな関係者に開かれ、アクセスし易い組織である必要があります。産官学民が混ざり合った集団により、異分野の知や技術、システムを融合するような場です。公益財団法人水道技術研究センターは、そのような場を担える組織となっています。
 設立以来の25年間の成果に加え、これからの時代の変化を見通し、新しい機能を加えた公益財団法人にしていきたいと考えています。本財団へ出捐していただいた関係者、会員各位の期待に応えるとともに、そのご支援とご協力を得て、水道に関わるすべての関係者と社会に役立つ財団になるよう、センター全職員と共に微力を尽くす所存です。よろしくお願い申し上げます。


公益財団法人 水道技術研究センター理事長 大垣眞一郎