ご挨拶
水道技術研究センターは、昭和63年3月、前身の財団法人水道管路技術センターとして発足しました。また、平成3年8月に社団法人水道浄水プロセス協会が設立され、平成8年9月には両法人が合併して財団法人水道技術研究センターが設立され、平成24年4月に公益財団法人に移行しました。そして、平成30年3月、当センターは設立30周年を迎えました。
当センター設立当時の厚生白書(昭和63年版)をみますと、「水道用水の安定的供給は水道行政の根幹にかかわる課題であり、平常時の安定的給水はもちろん、渇水、地震時等の非常時においても国民生活への影響を最小限にするため、ダム等の水源開発、既存水源の有効利用等に加えて、基幹的施設の耐震化、連絡管の布設や調整池の設置等の施策を推進していくとともに、送配水施設における監視、制御・操作技術の高度化、管路等の合理的な更新を図ることが必要である。」としています。昭和から平成を経て、令和の時代になった現在、日本の水道事業は人口減少社会への対応という新たな課題を抱えていますが、時代は変われども昭和時代から引き続く課題も依然として多く存在しています。
昭和時代に発足した当センターも、平成を経て、令和という3つの時代を経験することとなりました。当センターの目的は、「水道の技術に係る情報収集、調査、開発、研究、普及等に関する事業を行うことにより、 その発展を図り、もって公衆衛生の向上及び生活環境の改善に寄与する」ことを目的としており、(1)水道の技術に係る情報収集及び調査 、(2)水道の技術に係る研究及び開発 、(3)水道の技術に係る出版、研修及び情報提供、(4)水道に係る機能診断及び技術評価 、(5)水道の技術に係る関係団体との交流及び国際交流、などの事業を行ってきました。
特に、当センターの特色とも言える産官学共同研究においては、平成3年度にスタートした「膜利用型新浄水システム開発研究 (MAC21)」以来、浄水技術分野及び管路技術分野で多くのプロジェクトが実施され、また、国の研究費補助金による厚生労働科学研究などの調査研究を実施し、多くの成果を挙げることができました。これもひとえに、水道関係者が一体となって取り組んだ賜物であると考えています。
さて、平成30年12月に公布された改正水道法では、人口減少に伴う水の需要の減少、水道施設の老朽化、深刻化する人材不足等の水道の直面する課題に対応し、水道の基盤強化を図ることを目的とし、広域連携の推進、適切な資産管理の推進、官民連携の推進などに取り組むこととされています。このような各種の施策を推進するためには、それらを支える水道技術や水道システム、人材の確保などが必要不可欠です。
そのための当センターの役割は、時代の要請を踏まえた調査研究テーマ及び調査研究方法等の選定・実施、調査研究等における土俵づくり、国内外の情報収集・発信、水道事業体と民間企業(ニーズとシーズ)のマッチングなどに取り組むことであり、また、「センターの存在や活動は、誰のためか、何のためか」ということを常に意識して活動していきたいと考えています。
引き続き、水道に関わる全ての関係者の方々のご支援・ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。