浄水技術や管路技術の研究では、厚生労働省の厚生労働科学研究費補助金及び研究参加企業からの分担金による共同研究プロジェクトをはじめ、その成果を基として各種マニュアルの策定などを行っています。
浄水技術の分野では、産官学の協力の下、「膜利用型新浄水システム開発研究(MAC21計画)」から平成27年3月に終了した「しなやかな浄水システムの構築に関する研究(J-Step共同研究)」まで7回の共同研究プロジェクトを実施してきました。平成26年度からは3ヶ年計画で、「地表水を対象とした浄水処理の濁度管理技術を補完する紫外線処理の適用に関する研究」、平成27年10月から3ヶ年計画で「変化に対応した浄水技術の構築に関する研究(A-Batons)」について研究を進めています。
厚生労働科学研究補助金による研究(H23〜25)では、中小規模事業体が導入しやすく有効な浄水処理の改善・強化方策について検討し、「高濁度原水への対応の手引き」を作成しました。J-Stepプロジェクト(H24〜26)では「水道における省電力ハンドブック」、「災害発生時の応急給水事例集」、「膜ろ過施設導入ガイドライン」や「高分子凝集剤使用ガイドライン」を作成しました。
今後は、得られた技術の普及と共に、水源の悪化、施設の老朽化、技術者の不足などの水道事業体が直面する課題の解決に向け、さらなる水道技術の発展に努めていきます。
J-Stepプロジェクト参加メンバー
管路技術の分野では、産官学による共同研究プロジェクトを実施しています。Epochプロジェクト(H14〜H16)では「管内濁質原因や挙動」、New Epochプロジェクト(H17〜H19) では「管路の機能診断、老朽度診断技術」、e-Pipeプロジェクト(H20〜H22)では「機能劣化予測」・「ハザードマップ」・「水道事業のPR」等、様々な管路技術に関する研究に取り組んできました。Pipe Starsプロジェクト(H23〜H25)では、管路の維持管理に関する研究と管路の最新技術に関する研究に取り組み、「予防保全型維持管理の重要性評価手法」を提案し、「管路維持管理マニュアル作成の手引き」を作成しました。また「水道の未来予想図」を取りまとめ、「水道管路の再構築読本」を作成しました。さらには、地震による管路被害予測の確立に向けた研究なども行っています。
水道関連技術の研究開発や技術支援だけでなく、国内外の水道事業の現状調査や統計分析等も行っています。
例えば水道事業運営の多様化に伴い、民間活力の活用や水道業務改善に関する様々な取り組みを行っています。上下水道サービス業務に係わる国際規格(ISO/TC224)や国内規格(水道事業ガイドライン)の策定、資格制度(水道施設管理技士制度)の創設、全国水道事業体の業務指標(PI)の統計調査と普及促進、効果的活用方法の検討、PI等を用いた水道事業の現状分析を行うツールの作成などに携わってきました。
また厚生労働省からの受託事業として、給水装置等の海外動向調査、全国簡易水道事業体の年度毎の情報収集と統計分析(簡易水道統計調査)や、PFI活用事例調査などを行ってきました。
様々な調査の実施や統計資料等の提供により、水道事業の現状把握や計画策定、運営の効率化に寄与しています。
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業務指標(PI)を用いた現状分析ツールの分析画面例 |
水道水の未利用エネルギーの有効活用や水道事業にかかわる廃棄物対策など、要素技術や先端的・基礎的研究にも取り組んできました。また施設や水質等の、様々な実態調査も行ってきました。安全でおいしい水を安定して供給するため、調査・研究・開発に幅広く取り組んでいます。