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マニュアル作成手引き
漏水調査
漏水調査は、埋設された水道管路からの地下漏水を早期に発見することで、道路陥没などの事故防止と修繕部位を特定することのほか、貴重な水資源の有効利用を目的とするものである。
漏水調査によって得られた情報は、その他の情報と併せて原因分析・劣化予測を行い、漏水調査計画や修繕・更新計画に活用する。
(1)作業手順

・配水量の分析
・漏水量の把握と分析
・調査する区画・方法・内容・班編成等を効率的に計画
・区画図、戸番図、配管図等を基に図面と現地の相違を確認する又、管種、埋設深度、地形及び調査作業の障害の有無も確認
・調査区域内の各戸毎のメータ、止水栓等の主に給水装置を対象とした音聴法(音聴棒等)により漏水音(漏水疑似音)を確認
・路面上の給水管・配水管を対象とした漏水探知器等を用いて漏水音(漏水疑似音)を確認
・音聴調査により探知した漏水音、異常音の位置を再調査し漏水の確認と位置を絞り込む
・漏水調査計画、更新計画の見直し
・修繕工事の依頼
(2)実施方法
1)調査対象施設
① 調査対象施設
調査対象施設は、送・配水施設および給水装置とする。
② 調査対象工区
・一般的には町丁境等を基準にして配水系統や給配水ブロックなどを組み合わせた地区を設定する。小規模な場合は、配水系統を1工区としてもよい。
・調査工区の設定は、1工区を1回、又は単年度1巡で調査可能な規模とし、調査工法や循環年数を考慮する。
・給水装置での漏水が大半を占める場合、主な調査対象が給水装置となるため、給水戸数等による作業効率を考慮した工区選定を検討する。
・調査を優先して実施する区分としては、過去の漏水調査実績・事故履歴の多い地区とし、過去の漏水調査実績・事故履歴が少ない場合は管路の経年度を考慮した上で実施する。
2)調査の種類
漏水調査には、管網全体をいくつかの工区に分割して循環年数を定めて行う調査と漏水量の多い地区、路線や経年化管路地区を重点的に行う調査、通報等で漏水発生の可能性のある箇所を行う調査がある。
3)調査の頻度
漏水調査の頻度は、対象とする作業区分での作業経費と漏水損失費の合計が最小となる経済的な循環年数(施設全体の調査を一巡する年数)の調査とする。管網全体の調査と特定地区の重点調査の循環年数を表3.1.1に示す。
調査名 | 循環年数 |
---|---|
管網全体の調査 | 4年~5年 |
重点地区の調査 | 2年以内 |
4)調査方法
漏水調査の主な調査方法を表3.1.2に示す
調査方法 | 詳細 |
---|---|
音聴法 | 漏水音を直接又は電気的に増幅し、人の耳により感知し判定する方法。調査箇所から比較的近い箇所での漏水調査に有効。管体などに直接機器が触れないと音を拾うことが難しい。 調査機器:音聴棒、電子音聴器 |
漏水探知法 | 漏水個所から発生する漏水音を検出、本体でその信号音を電気的に増幅し、ヘッドホンでその音を聞き取るもの。 漏水を面的に調査することが出来る。漏水探知機は、主に人の耳で感知をするが相関式漏水探知機では、管路データを入力することにより、センサーで漏水の有無と箇所を特定することが出来る。 調査機器:漏水探知器、ノイズカット漏水探知器、相関式漏水探知器 |
上記以外に「ロガー型多点漏水調査法」、「トレーサー法」「大口径漏水調査工法(複合型工法)」がある。
5)調査記録紙
① 漏水調査日報
漏水調査を実施する場合の日々の業務管理に使用するもので、以下の項目を記録する。
・調査日時、場所、調査時間、出来高、進捗率
② 漏水箇所報告書
発見した漏水箇所についての報告に使用するもので、修繕依頼にも活用できる。
以下の項目を記録する。
・位置情報(住所、氏名、水栓番号、メーター番号)
・施設区分(送水管、配水管、給水管)
・道路区分(公道、私道、宅地内)
・路面状況(アスファルト、コンクリート、土、その他)
・管路情報(管路番号、管種、口径、布設年、配水系統・路線番号等)
・推定漏水量
・緊急措置の必要性
・位置図、平面図、写真
6)調査記録の保管・蓄積
・調査結果は、電子化して保管・管理する。
・調査データは電子化を行い、経年分析や原因分析等を行いやすいようにデータの蓄積を行う。
(3)情報の活用
漏水調査情報を記録することで、今後の漏水調査計画の策定や調査方法の見直しに有効活用できる。また記録の蓄積により、漏水発生頻度の高い地域等の経年的な変化も知ることができ、更新計画にも活用できる。
また、管路情報として給水栓、水道メータ、バルブ等の位置情報を収集後、マッピングデータ等を修正し精度向上に努める。
漏水調査結果から得られた情報の活用方法を表3.1.3に示す。
目的 | 必要な情報 | 方法 |
---|---|---|
漏水調査計画の見直し | ・(全般) |
管路情報が、維持管理に有効に活用されているか確認し、情報の更新方法や提供方法を見直す。 |
管路修繕、更新計画の基礎情報 | ・漏水調査区域別漏水調査結果 ・管体情報 |
管体及び付属品の情報、埋設環境情報、事故情報等の情報をもとに、修繕や更新の優先順位の判断を行い計画に反映させる。 |
図面及び台帳の情報更新 | ・位置情報 ・管路情報 ・埋設環境情報 |
管路図、台帳、マッピングシステム等の情報の確認を行い、必要に応じて修正を行う。 |