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マニュアル作成手引き

水量・水圧・水質調査

水量・水圧・水質調査は、給水区域全体の配水状況や経年変化等の把握や局所的な問題の対応のために、消火栓等にポータブル式の流量計、水圧計等を設置するなどして定期又は臨時に測定するものである。調査結果は、管路の維持管理や管路整備計画の策定に活用することができる。

(1)作業手順

作業手順

・調査対象、調査頻度、調査方法等の計画を策定

・定期測定の実施
・臨時測定の実施

・水量:流量、流速、流向の確認
・水圧:最大・最小・平均水圧の確認
・水質:残留塩素濃度等の確認

・管路維持管理(洗浄作業、配水圧適正化、残留塩素濃度適正化、管内洗浄や排水作業等に活用
・調査結果を分析し、調査対象、調査頻度、調査方法等を見直し
・管路整備計画策定のための基礎情報として活用

(2)実施方法

1)調査対象

・調査場所は、幹線管路からの分岐部や管網の末端など、水量・水圧・水質の3項目を基本に、管網全体の状況を把握できる箇所を選定する。
・また、常時測定箇所の情報も活用し調査の省力化を図る。

2)調査の種類

・調査の種類は、定期測定と臨時測定がある。
・定期測定は、常時測定を補完し、給水区域全体の配水状況や経年変化等を把握するために実施するものである。
・臨時測定は、局所的な水圧低下や停滞水など給水区域内に発生した特定の問題について原因を分析し、その対応を検討する場合に実施するものである。

3)調査の頻度

・定期測定は、給水区域全体の配水状況、経年変化、季節変動等を把握するため、夏季、冬季などに定期的に調査する。
・臨時測定は、特定の問題への対応を検討する場合に随時実施する。

4)調査方法

水量調査、水圧調査、水質調査の方法を表3.5.1に示す。

表3.5.1 水量・水圧・水質調査の方法
作業の種類 目的
水量調査 ・ポータブル式流量計を配水管に設置し、流量、流速、流向を測定する。
・約24時間の連続計測を行う。
・ポータブル式流量計は、外面設置式と挿入式がある。
水圧調査 ・ポータブル式水圧計を配水管に設置し、水圧を測定する。
・約24時間の連続計測を行う。
・ポータブル式水圧計は、自記録式とデータロガー式がある。
水質調査 ・消火栓等から採水し、ポータブル式残留塩素濃度計にて残留塩素濃度を測定する。
・水圧調査等に併せて採水するのが効率的である。

5)調査結果の記録

① 調査記録表
定期測定および臨時測定の結果を記録するもので、以下の項目を記載する。
・調査対象:調査箇所、管種、管径
・調査年月日
・水量調査結果:最大・最小・平均流量および流速、流向、時間別の流量・流速のグラフ
・水圧調査結果:最大・最小・平均水圧、時間別の水圧グラフ
・水質調査結果:残留塩素濃度、水温、測定時刻、排水作業の有無

② 調査管理表
定期測定および臨時測定の実施状況や管網全体の状況、経年変化を管理するもので、以下の項目を記載する。
・調査対象:調査箇所、管種、管径
・調査年月日
・調査結果の概要:最大流速、最大・最小水圧、残留塩素濃度など

6)調査結果の保管・蓄積

・調査結果は、調査記録表と調査管理表に記録し、常に把握できるようにする。
・調査を委託した場合は、委託報告書を電子化して保管・管理する。
・調査によって収集したデータはマッピングシステムを活用して電子化を行い、地図化、経年分析や原因分析等を行いやすいようにデータの蓄積を行う。

(3)情報の活用

調査結果をもとに、水圧分布図や水質分布図を作成することで、管路の維持管理や管路整備計画の策定に活用することができる。
水量・水圧・水質調査結果から得られる情報の活用方法を表3.5.2に示す。

表3.5.2 水量・水圧・水質調査の情報活用方法
目的 必要な情報 方法
管路整備計画の基礎情報

水量・水圧・水質調査結果

適正水圧の保持や残留塩素濃度の適正化のための方策、管路の適正口径の検討に活用できる。

管路維持管理への活用

水量調査結果

工事や事故時の断水影響区域の検討、布設替工事の新設管や仮設管の口径選定、洗浄作業計画策定に活用できる。

水圧調査結果

配水圧適正化のため、バルブ操作による配水調整やポンプ揚程・減圧弁等の圧力設定に活用できる。

水質調査結果

残留塩素濃度適正化のため、管内洗浄や排水作業に活用できる。

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