マニュアル作成手引き

（１）図面および台帳の整備、活用手順

（２）実施方法

１）対象

表5.1.1に示す図面および台帳を整備し、可能であれば必要情報をマッピングに登録するなどの見える化を行う。

表5.1.1 　図面及び台帳の例

分類		内容
図面	管路図面	配管図、詳細図、工事完成図等
	各種資料	配水系統図、管網解析結果、埋設地盤評価結果（腐食性土壌等）、地震被害予測資料等
台帳	管路台帳	水理、水質、事故・苦情、埋設環境、社会的情報等
	弁栓台帳	バルブの種類、口径、開度、操作、点検整備の記録、弁室のオフセット図
	水管橋・橋梁添架管台帳	占用許可関係、点検、塗装替え等の整備記録
	電気防食設備台帳	防食の種類、防食措置、点検整備の記録
	震災対策用貯水施設台帳	貯留法式、容量、緊急遮断弁、点検記録、水質記録
占用許可書		管理者、用途、更新時期、占用場所等

① 図面
配管図、詳細図、工事完成図等の管路図面の整理、保存を確実に行う。配水系統図、管網解析結果、埋設地盤評価結果（腐食性土壌等）、地震被害予測資料等の資料も、管路図面と合わせて管理する。

② 台帳
水理、水質、事故・苦情、埋設環境、社会的情勢等、図面に記載されない情報を含む管路台帳を整備する。また、バルブ、消火栓、空気弁等の付属設備や水管橋・橋梁添架管、電気防食設備および震災対策用貯水施設等の台帳も併せて整備する。

③ 占用許可書
管路施設は、各管理者から条件付きで占用許可を受けている。台帳と照合し適切に許可の更新を行う。また、占用許可書は、管理者別、用途別、更新時期および占用場所別に分類・整理しておくことが重要である。

２）電子化

情報を電子化することは、情報の一元管理や情報更新・閲覧、更には情報活用において有効な手段であり、可能であればマッピングやデータベースにより電子化して管理する。
･図面の管路施設位置情報およびその属性情報をマッピングに入力する。詳細図、工事完成図等は、イメージデータとして入力し、マッピングで管理されている管路データと関連付ける。
･台帳をデータベース化して適宜更新するとともに、保全記録と合わせて管理する。また事故の履歴管理や水管橋の補修管理等、目的に応じて必要な情報をマッピングデータに入力を行う。
･占用許可書では、管理者および更新時期等をマッピングの管路属性情報に入力することが望ましい。

３）マッピングで管理すべきデータ

管路施設に関して、最低限マッピングで管理すべき属性データを表5.1.2に示す。

表5.1.2　マッピングで管理すべき情報

分類	内容
管路情報	①管路番号　②管種　③管厚　④口径及び呼び径　④延長　⑤布設年度　⑦ポリエチレンスリーブの有無　⑧電気防食の有無　※⑨埋設環境情報　※⑩水理水質情報
管路付属施設（仕切弁、空気弁、圧力調整弁、流量調整弁、消火栓他）	①管理番号　②種類　③開閉情報　④口径　④布設年度　※⑤点検情報
修繕・事故情報	①発生年月日　②原因　③発生箇所　④内容（漏水状況等）　⑤修理方法　⑥事故の影響
苦情情報	①発生年月日　②原因　③発生箇所　④苦情情報　⑤対応方法
事故対応情報	①急給水拠点　②緊急輸送道路

※必要に応じて管理する項目

４）データ更新の頻度

･データは、正確であることが重要であるため、最新の情報に的確に更新する必要がある。
･データの更新頻度を表5.1.3に示す。

表5.1.3　データ更新頻度

分類	更新頻度
管体情報	工事、点検、調査都度
埋設環境情報	点検都度
管路水理・水質情報	調査都度
修繕・事故情報	修繕・事故発生都度
苦情情報	苦情発生都度
社会的情報	年1回　（情報変化都度）
占用許可書	申請及び更新都度

５）データのバックアップ

･データは定期的にバックアップを行う。
･災害時の運用を考慮して紙ベースの情報と電子情報の二重化を行う。
･広域災害に備えてバックアップデータは遠隔地での保管が望ましい。

（３）情報の活用

･管路情報を元に施設の点検・整備計画の策定や見直しを行う。
･事故・災害時や他企業工事への迅速な対応に活用する。
･利用者への施設状況の情報提供に活用する。
･マッピングで管理している図面・台帳等の最新情報を使ってアセットマネジメントを行うことにより合理的な更新が可能となる。
･データ更新頻度や情報の共有化等、管理方法に問題がないか、情報活用の観点で確認し、必要に応じて見直しを行う。
･図面および台帳から得られる情報の活用方法を表5.1.4に示す。

表 5.1.4　図面および台帳の情報活用方法

目的	必要な情報	方法
図面や台帳の管理方法の見直し	・管路情報（全般）	管路情報が、維持管理に有効に活用されているか確認し、情報の更新方法や提供方法を見直す。
管路修繕、更新計画の基礎情報	・図面 ・台帳 ・占用関連台帳	管体及び付属品の情報、埋設環境情報、事故情報等の情報をもとに、修繕や更新の優先順位の判断を行い計画に反映させる。
事故・災害時の情報活用	・図面 ・台帳 ・占用関連台帳	事故や災害の発生時に、管路情報を活用することにより迅速な対応を行うことができる。
利用者への情報提供	・図面 ・台帳	管路施設の状況を利用者に分かりやすく情報提供を行うことにより、水道事業への理解と協力を得ることができる。