ICTを活用した管網管理に関する研究

水道利用者である需要者の人口減少、更には供給側となる水道事業体職員数の減少に対応したICTを活用した効率的かつ効果的な管網管理の実現に向けた研究を実施しました。
研究方針 1
- 1.研究方針・方法
- 情報通信技術(ICT)を用いて、水質・流量・水圧の三要素を基本とし、管網管理手法の改善を検討しました。水道事業体の配水系統の一部における、流量・水圧・水質と各戸使用量の毎分・毎時データを収集し、配管情報などの基礎データを組み合わせ、管網解析の精度向上を図り、適切な水質、水圧及び漏水把握を行う手法の検討を実施しました。

- 常時収集している監視システムのデータに加え、新たにSWM※1で収集するデータ、管路に設置された消火栓の圧力データ、管末の残留塩素濃度データを活用し、これらの計測データを組み合わせて分析することで管網管理の業務改善が見込めました。
- 一例紹介
- 計測データを組み合わせた解析と模擬漏水から、漏水の予測(実証実験)について任意の配水区域における検証を実施しました。配水区域における需要量とSWM※1の収集データから得られた戸別需要量を比較し、模擬漏水の有無でその違いを比較しました(図1のイメージを参照)。模擬漏水の時間帯には差分が大きく見られ、漏水の可能性をデータ上から推定可能であると判断しました(図2のグラフを参照)。
※1:本研究では検針値等の水量データを分単位、もしくは時間単位で取得可能なメーターのことをいう。
研究方針 2
- 1.研究方針・方法
- 管網管理手法の一助とするために、進展が著しい情報通信技術(ICT)を用いた様々な技術情報を、集約、整理しました。
求められている技術の調査を行い、情報媒体から目的に合致した企業の技術情報などを集約、その技術がどのような目的で管網管理に活用できるのか、また、使用することで得られる成果の想定などをシートの形で整理し、データベース化するとともに、検索可能なツールを作成しました。

- 調査した技術の導入に対して、期待される効果、導入における課題を挙げ、15種類のシートに集約しました。集約後、市況ではどのようなレベルに至っているのかを調べ、研究段階・実証段階・商用化の情報としてまとめました。
これらの情報を容易に閲覧できるように、「活用目的」と「期待される効果」の組合せから一件一葉シートを検索するツールを作成しました(図4)。検索ツールから一件一葉シートを検索するフローは下記に示しました(図3)。また、検索ツールのほかに、次ページに示した一件一葉のシート(図5)を検索するイメージアイコンも作成しました(図6) 。こちらからの検索も可能です。「検索ツール」、「イメージアイコン」は、JWRC のHPに公開しています。
URL:http://www.jwrc-net.or.jp/chousa-kenkyuu/pipesigma/tool.html
新たな管網管理手法(ICT技術)の検索ツール
- 「活用目的」と「期待される効果」の組合せから一件一葉シートを
検索するツールを用意
新たな管網管理手法(ICT技術)の検索ツール
世の中の技術は日進月歩であり、様々な企業が新しい技術を適用した製品開発に取り組んでいます。水道の管網管理におけるニーズを起点として、活用可能な製品の調査を行い、それらの技術の活用方法を検討しました。
- イラストのイメージにより一件一葉シート(図5)へ導くのためのアイコンを用意
- ICT技術を活用した管網管理業務の将来像をイメージしたイラストで表現(図6)