基幹管路の再構築に関する研究

水需要の減少への対応と水道経営の健全化の観点での広域連携等を背景とした導・浄・送・配水施設の統廃合に伴う基幹管路の再構築のあり方を研究しました。
水需要が減少する中で、次期更新や地震及び事故等の不確実性事象に備えた再構築計画を策定するにあたり、施設余裕度及び計画水量の設定方法並びに基幹管路の再構築の実施に向けた技術課題の解決方法を研究しました。
1.施設統廃合の実事例情報の収集
施設統廃合の技術課題及びその計画に関する考え方等の情報を得るため全国の水道事業体における事例調査を行い、統廃合における不確実性事象に対する考え方や計画手順に関する情報をまとめました。
2.実事例に基づく施設統廃合の類型化
施設統廃合において廃止した施設及び新たに整備した施設と管路に関する情報を収集し整理することで、再整備の形態を類型化しました。
3.基幹管路再構築の計画手法
基幹管路再構築の計画手法は、①検討対象の選定、②統廃合の可能性評価、③基幹管路の再構築計画の3つで構成するフローとしました。
- ❶検討対象の選定
- 施設統廃合の目的や上位計画との整合性等を踏まえて、対象となる施設や整備期間を設定するとともに、不確実性事象による施設能力への影響について精査します。
- ❷統廃合の可能性評価
- 統廃合後でも平常時及び非常時に十分な施設能力があるか確認します。廃止予定施設を含めた既存施設及び管路の現況能力を把握した上で、統廃合による不確実性事象への対応可能性を評価し、必要に応じて系統連絡等の対策を検討します。なお、統廃合の可能性は、統廃合の目的に応じて廃止したい施設と、水運用による評価において廃止可能性と判定した施設が整合すれば統廃合が可能であると判断します。
- ❸基幹管路の再構築計画
- 施設統廃合により残る施設への依存度が高まり管路にも廃止施設の機能を補完する役割が発生することから、基幹管路の再構築モデルを参考に非常時にも対応可能な基幹管路の再構築計画を策定します。
4.技術課題の分析によるデータベース構築
事例調査で得られた情報から統廃合にかかわる技術課題に関する分析を行いました。技術課題は、テーマ別に7項目に分類しました。これらの技術課題は、技術課題情報シートへまとめデータベースを作成しました。
技術課題の分類項目
① 災害対策に関する問題 |
② 施設老朽化に関する問題 |
③ 計画に関する問題 |
④ 工事に関する問題 |
⑤ 施設管理に関する問題 |
⑥ 水質に関する問題 |
⑦ 水量・水圧に関する問題 |
5.施設統廃合に伴う基幹管路の再構築促進ツールの構築
- ❶計画簡易支援ツール
- 施設統廃合を検討する水道事業体の計画業務を支援します。施設の基本データ及び考慮すべき不確実性事象等の条件設定を行うと、統廃合の可否判定及び統廃合にかかる概算費用を算出します。
- ❷事例・技術情報検索ツール
- 水道事業体が、施設・管路整備計画を行うにあたり、他事業体において実施された統廃合に関する事例や技術課題の解決策などの情報を検索できる「事例・技術情報検索ツール」を構築しました。
●動作環境:マイクロソフトエクセルがインストールされたPC

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- 統廃合可能な施設や基幹管路の再構築について計画策定のフローを提案しました。
- 統廃合事例における技術課題を整理し技術情報シートとして取りまとめました。
- 統廃合を計画する水道事業体の計画業務を支援する「施設統廃合に伴う基幹管路の再構築促進ツール」を構築しました。