管網の再構築に関する研究

研究の概要

再構築の計画期間や将来の人口推計などの計算条件から水需要量を推定し、口径を検討する手法や、有効水頭(水圧)、残留塩素濃度、流速の評価指標や事業費などから、再構築プロセスの評価方法についてまとめました。

1.消火用水量の事例調査

施設統廃合の技術課題及び計画等に関する情報を得るため水道事業体へ事例情報の収集・調査を行いました。収集した事例から統廃合における不確実性事象に対する考え方や計画手順に関する情報を収集しました。

消防水利に関する基準や消防用水の料金の取扱いについて、消防法、水道法、地方公営企業法、水道施設設計指針等を基に整理しました。

水道技術研究センター会員を中心に、計202の水道事業体を対象に実施し、124の水道事業体から回答がありました。ダウンサイジングを検討したが、消火用水量を加えて管網解析を実施した結果、一部管路で問題が生じ同口径で更新する計画になった事例や、呼び径100の更新を行う際に増径を依頼され呼び径150で更新した事例など、ダウンサイジングできなかった事例などが調査により明らかになりました。

2.ケーススタディによる検証

目標管網の設定方法や評価指標、再構築のプロセスの考え方について、以下の4つのシミュレーションを実施し、結果の優劣などに関する検証を行いました。
①同口径での管網の再構築の検証  ②消火用水量を考慮しない管網の再構築計画  ③消火用水量を考慮する管網の再構築計画
④局所的な人口偏在を考慮した時の将来管網の検証

3.再構築プロセスと整備ステップ

再構築の計画期間は、長期計画での視点となる60年、再構築のプロセスは60年後の管路口径を設定しそれを段階的に更新(60年先計画)、10年毎に目標を設定して更新(10年毎計画)するものと設定し、整備ステップは10年毎に整備するものとしました。

4.再構築プロセスの提示

管網の再構築プロセスについては、ケーススタディをもとに再構築の計画期間や将来の人口推計などの計算条件から水需要量を推定し、有効水頭、残留塩素濃度及び流速の評価指標、口径を検討する手法、事業費などから、再構築プロセスの評価方法を示しました。プロセスの提示では、実施するための準備、計算条件となる再構築期間や配水量の設定方法、再構築シミュレーションの例、結果の評価とチェックシートの項目で構築され、フローチャートや例示により整理しました。

  • アンケート調査などにより、水道事業体における管路再構築の考え方や課題、消火用水量に係る課題について整理しました。
  • 計画期間を60年とした管網の再構築において、「60年先計画」「10年毎計画」の2つのプロセスで検討した結果、
    「60年先計画」がダウンサイジングが進み事業費も安価となることが明らかとなりました。
  • ケーススタディをもとに、将来の水需要量を推定し口径を検討する手法や、有効水頭(水圧)、残留塩素濃度及び流速の  評価指標や事業費などから、再構築プロセスの評価方法を示すことができました。
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