重要管路の再構築に関する研究

計画手法の研究

基幹管路を対象に、更新に合わせて冗長性を持たせる、
更新・再構築の計画手法を研究しました。

1再構築モデルにおける計画策定手法の検討

更新が難しいとされている、大口径・単線の基幹管路を対象に、更新に合わせて、緊急時や次期・次々期の更新工事に備えて冗長性を持たせ、更に需要減少にも対応できる計画策定手法を検討しました。冗長性を持たせる整備手法として、「二重化」、「ループ化」、「系統連絡」を取り上げました。
仮想のモデル管路である再構築モデルにおける、計画策定のシミュレーション並びに計画実施事例の調査を行うことにより、更新・再構築計画策定フロー(素案)を作成しました。

整備手法 定義
二重化 既設管と同じ路線で、新設管整備+既設管にPIPを行う
ループ化 任意節点から隣接した節点に、最短で連絡する路線の整備を行う
系統連絡 浄水場間、配水池間を連絡する管路の整備を行う

2実管路モデルにおける計画策定手法の検証

実管路をモデル化した実管路モデルにおいて、計画策定のシミュレーションを行い、更新・再構築計画策定手順の検証を行いました。その結果を踏まえて、計画策定フロー(素案)を一部修正し、更新・再構築計画策定フローを作成しました。

実管路モデル
それぞれ1つの浄水場と1つの配水池を有する2つの隣接する配水系統からなっており、配水系統間の連絡が可能となっています。
検討した基幹管路は口径400mm以上の送水管8.8km、配水本管88.6kmです。

2基幹管路の更新・再構築計画策定手順

基幹管路の更新・再構築計画策定フロー

次の3つを手順とする計画策定フローを新たに作成しました。

1基幹管路システムの設定

基本情報の整理を行い、基本方針の設定と想定事象の抽出を行う。

2基幹管路システムの現況評価

管路の物理的評価、重要度評価に、新たに冗長性評価を加えてまとめる。

3基幹管路システムの再構築計画

冗長性を有する「二重化」、「ループ化」、「系統連絡」及び冗長性がない「単純更新」を、便益や費用の面から比較して整備案を選定する。

計画期間と計画水量の設定方法

計画期間を10年から15年に設定し、設計に用いる計画給水量は計画期間ごとに設定することとしました。整備対象の管路は、計画期間終了後に運用を開始することとし、計画給水量は、運用開始後の最大給水量とします。例えば、水需要が減少する場合は、運用開始当初の給水量を用います。
人口や一人一日給水量が減少しない場合や、人口の偏在が発生する場合等、水需要が予測どおりに推移しない場合を想定して、計画した管口径でどの範囲の水量に対応できるかを把握し、計画期間ごとに見直しを行いながら進める手順としています。

整備案の評価方法

冗長性の確保に当たっては、給水量減少下での既存施設の能力を有効に活用する手法を組み込みました。
冗長性を有する基幹管路の便益については、評価方法が定められていないため、新たに定性的な評価項目の抽出を行いました。
さらに、次期更新時及び属具の更新時の費用低減、もらい事故時の被害低減、等について定量化する方法を提案しました。

  • 更新が難しいとされている大口径・単線の基幹管路を対象に、緊急時や次期・次々期の更新工事の時に備えて、更新に合わせて冗長化を図る新たな計画手法を検討し、基幹管路の更新・再構築計画策定フローを作成しました。
  • 計画期間や計画水量の考え方を明らかにし、将来の人口減少を踏まえた口径設定手法を提案しました。また水需要の減少が予測どおりに推移しない場合を想定し、感度分析手法を取り入れ、計画期間ごとに見直しを行う手順を組み込んでいます。
  • 冗長性を有する管路の便益について、新たな評価項目を抽出し、可能な限り定量化する方法を提案しました。
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