概要
次世代の水道管路に関する研究(Pipe Starsプロジェクト)
研究背景
わが国の水道は、97%を超える高普及率を達成し、国民の健康を維持するとともに、社会基盤を支える基幹施設としての重要な役割を担ってきました。
しかし、拡張時代に埋設された多くの水道管路は、供用開始から40年以上が経過し、老朽化が進んできています。
近年では、水道経営の安定化、事業継続に必要な技術継承および災害時のリスク管理など、新たな課題が顕在化しています。
将来にわたり良質な水道サービスを提供するためには、管路を適正なレベルで維持管理しつつ、計画的に更新していくことが重要です。
Pipe Starsプロジェクトでは、維持管理の適正化と管路更新の促進を図ることを目的とし、次世代水道管路の維持管理業務のあり方と管路更新について、平成23年度~平成25年度の3ヵ年にわたり研究を実施しました。
研究概要
健全な水道管路の維持管理に関する研究
管路における維持管理の体系化を行い、予防保全型維持管理の重要性を、人間の健康管理に例えて分かりやすく説明できる手法を検討しました。また熟練職員の退職が加速する中で、経験の浅い職員でも予防保全型の維持管理に対応できるよう分かりやすい「手引き」を作成しました
1.予防保全型維持管理の重要性評価手法に関する研究
適切な維持管理の実施にあたっては、維持管理に関する実態の評価と効果を把握することが重要です。本研究では維持管理に関する評価手法を提案するとともに、モデル地区の管網から維持管理に伴う費用を試算してその便益などの効果を検証しました。
2.管路維持管理マニュアル作成の手引き
事故が発生してから対応する事後保全ではなく、「計画的な維持管理による未然予防」と「維持管理情報を活用した更新・耐震化による再発防止」といった「予防法全型維持管理」を行うことに重要性をイラストで分かりやすく説明しています。また、「維持管理マニュアルの作成と運用の手順」を解説し、マニュアルや様式の例を示すことにより、水道事業体が実効性の高いマニュアルを作成できる分かりやすい「手引き」を作成しました。
水道管路の最新技術に関する研究
水道管路における現状の課題を明らかにすることにより、将来求められる水道管路の具体像について検討しました。また、将来の水道管路の構築に必要な製品や工法を研究することで、今後の水道業界における研究開発の活性化に資することを目的として調査研究を実施しました。
1.水道管路の将来像構築
水道管路の将来像として、運営に関わる問題点がICTの活用でどのように解決されるかを検討し、その結果を「水道の未来予想図」として図化しました。
2.ICTの活用による管路情報の利用促進に関する研究
ICTを活用した水道管路の将来像構築の基礎となる「情報管理システム」の導入や機能向上に資するべく、システムの機能、導入方法、導入事例などを調査してその効果を検証しました。
3.水道管路の再構築読本の作成
水道管路の再構築読本は、基礎的な管路更新の進め方を習得できるような構成としました。