マニュアル作成手引き

（１）作業手順

（２）実施方法

１）点検対象施設

①　点検対象は、弁類（仕切弁等、空気弁、減圧弁）の弁室（立坑を含む）・弁きょうを対象とする。
②　管路の重要度、事故時の影響度も考慮に入れて基幹管路等を優先的に実施する。（表2.4.1参照）

表2.4.1　施設重要度一覧（例）

バルブの種類	施設の重要性	管路施設
仕切弁等	高	幹線管路に設置しているバルブ及びその管路の分岐部に設置している第一バルブの弁室
	中	上記以外の配水小ブロックの境界バルブの弁室・弁きょう
	低	上記、「高」•「中」以外のバルブの弁室・弁きょう
空気弁	高	幹線管路に設置している空気弁
	中	上記以外の空気弁
減圧弁	高	幹線管路に設置している減圧弁
	中	上記以外の減圧弁

２）点検の種類

弁室・弁きょう等点検（清掃）には、次の種類がある。

① 定期点検（清掃）
施設の重要度毎に分け、計画的に実施する。

② 臨時点検（清掃）
管路パトロール等からの報告、市民からの通報、道路管理者等からの指示により実施する。

３）点検頻度

･頻度は、施設の重要度等（表2.4.1参照）や経過年数（健全管路、経年化管路、老朽化管路）から決定する。
･弁栓類点検に併せて計画する。
･弁室・弁きょう等点検（清掃）の頻度を表2.4.2に示す。

表2.4.2　点検頻度一覧

バルブの種類	管路施設	頻度
仕切弁等	幹線管路に設置しているバルブ及びその管路の分岐部に設置している第一バルブの弁室	2年1巡
	上記以外の配水小ブロックの境界バルブの弁室・弁きょう	3年1巡
	上記以外のバルブの弁室・弁きょう	5年1巡
空気弁	幹線管路に設置している空気弁	2年1巡
	上記以外の空気弁	5年1巡
減圧弁	幹線管路に設置している減圧弁	1年1巡
	上記以外の減圧弁	1年1巡

４）点検方法

･目視および操作により実施する。
･労働安全衛生法上、作業は2名（運転、軽微な交通誘導を含む）以上で行う。
･必要に応じて水中ポンプによる排水や排泥作業を実施する。
･弁室等の施設では、点検等の作業を行うに当たって転落や酸欠、有毒ガスの発生による災害事故を防止するため、事前に弁室内の酸素濃度等を計測し、必要に応じて送風機で換気する。
･点検・清掃作業日報、状況写真を含む各点検項目について記録する。

５）点検項目

点検項目を表2.4.3に示す。

表2.4.3　弁室・弁きょう等点検項目

対象	項目	内容
鉄蓋	鉄蓋の損傷劣化確認	ガタツキ、破損、表面磨耗、腐食、段差など
	鉄蓋の機能確認	蓋の開閉操作性、蓋の逸脱防止機能の点検、受枠の清掃など
	鉄蓋周りの舗装状態確認	不陸、段差、ひび割れなど
弁室	弁室等の躯体内部の状況確認	溜まり水、土砂堆積の有無、ボックスのズレ、破損、高さ調整部の損傷など
	継足金物、はしごなどの状況確認	はしご、弁棒などの継足金物類の取付状態
	弁室等の躯体内部の清掃	溜まり水の排水、土砂の除去など
弁きょう	弁きょう内部の状況確認	土砂堆積の有無、ボックスのズレ、破損状況等
	弁きょうの内部清掃	砂取り、土砂の除去、清掃など
	位置確認調査	埋没等で位置が不明となっている弁きょうの確認調査

６）点検結果の記録

①　点検記録表
定期点検および臨時点検の結果を記録するもので、以下の項目を記載する。記録表は、弁栓類点検記録表と同一様式とし、記録表の一部を利用することも有効である。
･弁管理番号
･点検日
･点検結果（各点検項目の評価）
･損傷に著しい箇所があり早急な修繕工事が必要な場合や詳細な調査が必要な場合の、具体的な損傷状況
･修繕工事を依頼する場合、依頼先の担当部門名

②　点検管理表
定期点検や臨時点検における劣化状況等の経年変化を管理するもので、以下の項目を記載する。
･点検日
･点検結果
･損傷状況
･修繕工事の依頼有無
※大型弁および幹線管路の弁栓類は、個々の弁栓類ごとに台帳で管理することが望ましい。
（5.1図面および台帳参照）また、小型の弁栓類は点検記録管理表で不具合状況や対処方法を管理する。（2.3弁栓類点検　弁栓類点検管理表、5.3保全記録参照）

７）点検記録の保管・蓄積

・点検結果は、点検記録表・点検管理表に記録し、常に把握できるようにする。
・点検データは電子化し、経年分析や原因分析等を行いやすいようにデータの蓄積を行う。
・委託報告書は電子化し保管・管理する。

（３）情報の活用

定期点検、臨時点検の結果は、点検計画の見直しや修繕・更新計画の基礎情報として活用する。
弁室・弁きょう等の情報の活用方法を表2.4.4に示す。

表2.4.4　弁室・弁きょう等の情報の活用方法

目的	必要な情報	方法
弁室・弁きょう等点検計画の見直し	・点検結果	・鉄蓋の損傷・劣化状況、弁室・弁きょう内部の劣化状況により、点検項目、頻度の見直しを行う。
修繕・更新計画の基礎情報	・点検結果 ・経年変化の有無	・鉄蓋、弁室・弁きょうの劣化の進行が見られる場合は、その原因分析を行う。 ・劣化が著しい場合は、修繕・更新が必要である。