マニュアル作成手引き

応急給水

応急給水は、計画的な断水作業や事故や災害による突発的な断水作業、仕切弁操作に伴う濁水発生時など、緊急の水需要に対応することを目的として臨時に給水するものである。また、断水等の状況に応じた応急給水計画を策定する必要がある。
応急給水の際に得られる情報は、今後の応急給水時の参考資料とするほか、応急給水地点や備蓄資機材等の事故対応情報の情報更新に活用する。

（１）作業手順

・水道工事に伴う計画的な断水作業
・事故や災害による突発的な断水作業
・系統変更作業等の仕切弁操作に伴う濁水発生時
・水質事故時

・応急給水体制構築
・応急給水範囲、給水方法の設定
・応急給水資機材の手配

・広報・連絡調整・利用者対応
・浄・送水量の増量
・応急給水の実施

・応急給水記録表への入力

・応急給水方法、応急給水の対象利用者の見直し等、応急給水計画策定の参考資料として活用
・応急給水地点、備蓄資機材等の事故対応情報を確認し、必要に応じて修正

（２）実施方法

１）応急給水方法

応急給水計画では、断水や濁水の状況に応じて応急給水体制を構築し、応急給水範囲や給水方法を設定する。また、応急給水に必要な資機材を手配する。
応急給水計画に基づき、利用者への広報や対応、関係機関との連絡調整を行い応急給水を実施する。漏水量が増加した場合、必要に応じて浄・送水量の増量を行う。
具体的な計画は、「管路事故・給水装置凍結事故対策マニュアル策定指針」、「地震対策マニュアル策定指針」（いずれも厚生労働省健康局水道課）等を参考に定める。非常時に備え、あらかじめ応急給水体制の設定、資機材の備蓄、給水訓練などを実施することが必要である。

２）応急給水の記録

応急給水の実施結果は、応急給水の実施ごとに記録を作成し、応急給水実施理由、応急給水を実施した利用者情報、給水方法、給水量等を明確にする。応急給水記録表には以下の項目を記録する。

･応急給水実施理由（計画断水、突発事故、地震等の災害、濁水、水質事故等）
･利用者情報（氏名、水栓番号、住所、電話番号等）
･給水方法（給水車、ポリタンク、ポリ容器等）
･給水量
･給水実施時間
･応急給水実施者

３）応急給水記録の保管・蓄積

応急給水記録は、より活用しやすくするため以下のように保管・蓄積する。
①　応急給水記録表は、電子化して保管する。
②　応急給水地点、備蓄資機材等の事故対応情報（事故対応情報参照）と合わせて保管する。

（３）情報の活用

応急給水の際に得られる情報は、今後の応急給水時の参考資料とするほか、応急給水地点や備蓄資機材等の事故対応情報の情報更新に活用することができる。応急給水の結果から得られる情報の活用方法を表4.3.1に示す。

表 4.3.1　応急給水の情報活用方法
目的	必要な情報	方法
応急給水計画の策定の参考情報	・利用者情報・給水方法・給水量	・実際に必要となった給水量や資機材の情報をもとに、応急給水目標量の設定、資機材の確保計画を策定する。・利用者に応じた給水方法を選定する際の参考となり、利用者対応の向上に資する。
事故対応情報の情報更新	・利用者情報・給水方法	・あらかじめ設定された応急給水地点情報（避難所、医療施設（人工透析病院等）、福祉施設等）の確認を行い、不足・相違がある場合は利用者の追加、受水槽容量等の不足情報の追加等の修正を行う。・給水車、ポリタンク、ポリ容器等の備蓄資機材の数量の確認を行い、必要に応じ修正を行う。・位置情報、管路情報（管種、口径、ポリスリーブ有無等）、埋設環境情報（土被り、地下水有無等）を確認する。