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マニュアル作成手引き

修繕工事

修繕工事は、管路機能の劣化を改善し機能保持を図り、事故の未然防止とライフサイクルコストの低減化を図ることを目的とする。点検・調査に基づく計画的な修繕工事と通報等による突発的な修繕工事のうち、応急復旧や応急給水を必要としない小規模なものを対象とする。
修繕工事の際に得られる情報をもとに、修繕計画の参考情報とするほか、他の点検・調査結果と合わせて原因分析や劣化予測を行い、維持管理計画や更新計画に活用する。

(1)作業手順

作業手順

・点検・調査からの修繕依頼
・利用者や道路管理者等からの通報

・修繕実施の判定
・修繕工事の年次計画

・修繕方法の検討
・関連部署、道路管理者、他企業等との調整
・施工業者への工事実施の指示

・利用者への工事広報
・断・通水作業
・修繕工事の実施

・修繕記録表への入力
・修繕記録管理表への入力

・修繕方法の選定等の修繕計画策定の参考資料として活用
・他の点検・調査結果とあわせて原因分析や劣化予測を行い、維持管理計画や更新計画策定の基礎情報として活用
・位置情報、管路情報、埋設環境情報を確認し、必要に応じて修正

(2)実施方法

1)対象工事

点検・調査に基づく計画的な修繕工事と通報等による突発的な修繕工事のうち、応急復旧や応急給水を必要としない小規模なものを対象とする。

① 計画的な修繕工事
点検・調査で明らかになった不具合箇所を計画的に対処するものや劣化傾向分析に基づく事故の未然防止のための定期交換等がある。

② 突発的な修繕工事
利用者や道路管理者等からの通報等により対応するもの。応急復旧や応急給水を必要とする大規模なものは「事故対応」を参照する。

工事の種類は、漏水修繕工事、給水管修繕工事、弁栓類修繕工事、弁室・弁きょう等修繕工事、水管橋・橋梁添架管修繕工事等とする。

2)修繕方法

今後の維持管理計画、更新計画も含めて修繕に必要なトータルコストを考慮した修繕方法を以下の方法から選定する。
① 不具合箇所を応急的に修理する方法
② 不具合の原因箇所を部分的に取り替える方法
③ 他の方法で代替する方法 (例:給水管の分岐・配管・量水器の位置変更)
④ 事故・不具合の発生を予防するために定期的に取り替える方法

3)修繕結果の記録

修繕の実施結果は、修繕工事毎に記録を作成し、修繕箇所や修繕原因等を明確にする。修繕結果の記録を管工事組合や管工事業者に委託している場合は、記録様式と手順を明確にし、監督員が適宜確認と指導を行うことで、正確かつ着実な記録の蓄積を図る。
修繕結果は、修繕記録表と修繕記録管理表に記録する。

① 修繕記録表
修繕工事毎の詳細情報を記録するもので、以下の項目を記録する。
・修繕日時
・位置情報
・管路情報(管種、口径、布設年度等)
・埋設環境情報(土被り、土壌、地下水の有無等)
・修繕情報(不具合箇所、不具合状態、原因、発見方法、修繕方法、修繕工事費等)

② 修繕記録管理表
修繕工事の箇所数や工事費の集計、修繕原因の傾向分析等を行うため、修繕記録を時系列にまとめるものである。以下の項目を記録する。
・管路情報(管種、口径、布設年度等)
・修繕情報(不具合箇所、原因、修繕方法、修繕工事費等)

4)修繕記録の保管・蓄積

修繕記録は、より活用しやすくするため、以下のように保管・蓄積する。
① 修繕記録表や修繕記録管理表は、電子化して保管する。
② 修繕工事の位置情報や修繕方法をマッピングシステムに登録することで、表示や関連資料の検索が容易になる。また、地域や布設年度等の管路特性と合わせて劣化傾向を分析することができる。
③ 通報等による修繕工事の場合は、通報等の一次対応の記録(利用者対応参照)と合わせて保管する。

(3)情報の活用

蓄積された修繕記録は、修繕計画・維持管理計画・更新計画の策定の基礎情報や図面および台帳の情報更新のために活用することができる。
修繕工事結果から得られる情報の活用方法を表4.1.1に示す。

表 4.1.1 修繕工事の情報活用方法
目的 必要な情報 方法
修繕計画の策定の参考情報

・不具合箇所・原因

・修繕内容

・不具合原因と修繕内容を蓄積することで、修繕実施の判定や修繕方法の選定など、修繕計画策定の参考情報とする。

維持管理計画策定の基礎情報

・不具合箇所・原因

・埋設環境情報

・修繕内容

・修繕費

・他の点検・調査結果と合わせて不具合の原因分析や劣化予測等の機能診断※1を行う

・その結果を、点検・調査や修繕工事の対象施設や実施内容の選定、実施頻度の検討など、維持管理計画策定の基礎情報とする。

更新計画策定の基礎情報

・不具合箇所・原因

・埋設環境情報

・修繕内容

・修繕費

・他の点検・調査結果と合わせて不具合の原因分析や劣化予測等の機能診断※1を行う。

・その結果を、更新実施の判定、更新優先順位の検討など、更新計画策定の基礎情報とする。

図面及び台帳の情報更新

・位置情報

・管路情報

・埋設環境情報

・修繕工事で得られた情報により、管路図、台帳、マッピングシステム等の情報の確認を行い、必要に応じて修正を行う。

・位置情報、管路情報(管種、口径、ポリスリーブ有無等)、埋設環境情報(土被り、地下水有無等)を確認する

※1 機能診断を実施するための参考図書
・「水道施設機能診断マニュアル(平成23年2月)」(水道技術研究センター)
・「水道施設更新指針(平成17年)」(日本水道協会)

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